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新型コロナウイルス感染症拡大対策に従事する国家公務員の過重労働に対する緊急声明

新型コロナウイルス感染症拡大対策に従事する国家公務員の過重労働に対する緊急声明

1.2021年1月26日に開催された、第18回過労死等防止対策推進協議会では、川人博・過労死弁護団全国連絡会議幹事長が、国家公務員の過重労働をなくすために国側に速やかな是正を求めた。また、3月1日、同協議会委員7名(過労死遺族4名、弁護士2名、研究者1名)の連名により厚労省に提出した過労死等防止大綱改正にあたっての意見書において、働き方改革を先導すべき国家公務員の職場において、異常な長時間労働が常態化し、改善の兆しがみられないこと、特に、国会と隣接する霞が関官庁街において働く職員は、1か月100時間を超える長時間労働が常態化し、深夜帰宅、徹夜勤務が頻繁に発生していることなどを指摘し、この結果、心身の健康を損なう職員が多数発生し、これらのことが理由となり、若い職員の早期退職が増加していることを指摘し、早期の改善を実現しなければいけないことを提起した。
2.ところが、まさにその1月中において、国の新型コロナウイルス感染症対策の中心的な役割を担っている内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室(コロナ室)に所属する職員のひと月当たりの超過勤務時間が平均で約122時間、最長の職員では約378時間にも上ったうえ、政府が民間企業に対し導入を強く求めているテレワークに従事した職員が皆無であったことが、2021年3月5日付政府答弁書により判明した。
東日本大震災後、災害対応に従事した公務員の中で、過重労働に起因する健康被害や死亡が数多くもたらされたことは、周知のとおりである。当時より、当弁護団は繰り返し、公務員の過重労働を是正するよう、政府に何度も改善を求めてきた。ところが、この度判明したのは、未曽有の国家的緊急事態である新型コロナウイルス感染症拡大について我が国の対策の中心を担うコロナ室の職員らの間に、健康被害をもたらすことが明々白々な過重労働が蔓延しているという実態である。
かかる事態からすれば、もはや政府は、災害や緊急事態を前に、個々の国家公務員の生命や健康は犠牲になってもよいと言っているに等しく、東日本大震災の教訓から何も学んでいないと言わざるを得ない。このような異常な長時間労働のもとで、疲弊した職員らが担うコロナ対策に、過労から生ずる重大な誤りがないとは考え難く、そのしわ寄せを被るのは国民一人一人なのである。
さらに付言すれば、西村康稔経済再生大臣により、職員らへのパワハラが行われている旨の一部報道が存するが、仮にかかる報道内容が真実であったならば、パワハラ防止対策や従業員のメンタルヘルス対策を率先垂範すべき大臣の行動としては論外であるというほかない。
3.過労死弁護団全国連絡会議は、国家公務員・地方公務員の災害時にあたっての過重労働による健康被害を防止するために、政府が全力を尽くすべきであることを改めて訴えるものである。
そして、これまでの災害時における過重な公務労働の教訓を踏まえ、新型コロナウイルス感染症拡大という緊急事態の最中にあって、この対策に従事する国家公務員の長時間労働・過重労働を一刻も早く是正するよう、政府に対し強く求めるものである。

公開日時:2021年3月11日(木)

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