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WHO・ILOの長時間労働による死亡に関する発表を受けて意見を発出しました

WHO・ILOの長時間労働による死亡に関する発表 と日本における過労死防止活動・労災認定実務の改善について

2021年5月19日 

過労死弁護団全国連絡会議 幹事長  弁護士 川人 博
事務局長 弁護士 玉木一成

1 WHO・ILOは、5月17日、長時間労働による健康リスク・死亡に関する調査結果を発表した。このような総括的な発表を国連機関が行うことは歴史的なことであり、そのことは、日本をはじめ多くの国々での長時間労働による健康破壊・死亡が深刻化していることを示している。調査結果の主な特徴は、以下の点である。
①週55時間以上働く長時間労働者は、標準的な労働時間(35~40時間/週)と比較して、脳卒中や虚血性心疾患のリスクが高いという十分な証拠がある。脳卒中のリスクは35%、虚血性心疾患のリスクは17%高くなる。
②2016年には、週55時間以上働いた結果、39万8000人が脳卒中で、34万7000人が心臓病で死亡(計74万5000人)したと推定。
  2000年から2016年の間に、長時間労働による心臓病の死亡者数は42%、脳卒中の死亡者数は19%増加している。
2 WHOの健康部門担当者のマリア・ネイラ博士は、「我々すべてが、政府・雇用主・労働者が長時間労働が早期の死につながる事実に目を向ける時が来た」と述べている。
また、WHO事務局長は、COVID-19(新型コロナウイルス)のパンデミックによって多くの人々の働き方が変わり、労働時間の増加傾向があると述べ、テレワークによる労働と家庭生活の境界があいまいになっていることなどを指摘し、政府・雇用主・労働者が協力して労働者の健康を守るための規制を作る必要があるとしている。
3 現在、厚生労働省は、2001年に策定した脳心臓疾患の労災認定基準の改正作業に取り組んでいるが、今後数か月以内に新しい認定基準が策定される可能性が高い。同省は、今回のWHO・ILOの調査報告を十分に考慮し、適切な改正、とりわけ過重負荷の基準となる労働時間数の適切な基準を設定しなければならない。
4 また、現在、過労死等防止対策推進協議会で過労死防止大綱の改正議論が行われており、5月25日が最終協議会とされ、今年の夏にも同大綱の改正が行われる予定となっている。この防止大綱の改正作業においても、今回のWHO・ILOの調査報告が十分に反映されたものにしなければならない。
5 WHOは今回の記者会見において、コロナ禍において労働時間が増えるおそれがあることを指摘しているが、日本においても同様のことが進行しており、コロナ禍における失業対策・経済支援と並行して、過重労働の防止・過労死・過労性疾患の防止に力を注がなければならない。
6 当弁護団は、下記の期日において全国統一ダイヤル方式での全国一斉電話相談を予定しているが、これらの取り組みによって働く者のいのちと健康を守る活動、被災者・遺族の救済活動に一層努力するものである。※詳細は、6月上旬に追って発表します。
  6月19日(土)10時~16時 「コロナ労災・過労死・ハラスメント110番」
0120-222-751(全国統一ダイヤル)
0120-259-255(東京ダイヤル)
 

以上
公開日時:2021年5月26日(水)

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