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脳・心臓疾患の労災認定基準の改定を求める意見書

2018脳・心臓疾患の労災認定基準の改定意見書について

2018年5月23日
過労死弁護団全国連絡会議

1 はじめに

厚生労働省は「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会」(以下「専門検討会」という。)の報告書をふまえ,2001年12月12日に,「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」 (基発第1063号。以下「認定基準」という。)を改定した。1961年に初めて策定された脳・心臓疾患の労災認定基準は,極めて限定的な認定要件であったが,その後3回の改定(1987年,1995年,2001年)により,少しずつ救済の途を広げてきたという経緯がある。

これに対し,過労死弁護団連絡会議は,2003年に「脳・心臓疾患の労災認定基準の改定を求める意見書」を提出し,認定基準の改定を求めたが,現在に至るまで,認定基準の改定には至っていない。

そこで,過労死弁護団全国連絡会議は,2001年の認定基準改定後,およそ17年ぶりの改定を実現すべく,現在までの判例水準等を踏まえた認定基準の改定を要求するものである。以下,改定意見書に沿って,内容の概要を述べる。

2 基本的な考え方を改定すべきである -改定意見書第1

(1)前提として,改正労働基準法施行規則35条別表第一の二の第8号は,「長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血,くも膜下出血,脳梗塞,高血圧性脳症,心筋梗塞,狭心症,心停止 (心臓性突然死を含む。)若しくは解離性大動脈瘤又はこれらの疾病に付随する疾病」を対象疾病に追加した。したがって,従前は「その他業務に起因することの明らかな疾病」と解されていた脳・心臓疾患が,第8号で取り扱われることになった。

(2)最高裁判決は,血管病変等の自然経過を超える増悪が「著しく」であることが必要であるとは判示していないのであるから,「著しく」の文言を削除するよう,第8号及び認定基準を改定すべきである。

(3)認定基準は,業務が相対的に有力な原因と判断される場合に労災と取り扱うこととしているが,最高裁判決は業務と発症との相当因果関係を問題とし,相対的有力原因説を否定していることから,認定基準からも当該要件を削除すべきである。

3 対象疾病を改定すべきである -改定意見書第2

(1)肺塞栓症については,公務災害の認定基準においては対象疾病に挙げられていることから,労災の認定基準においても対象疾病に追加すべきである。

(2)実務において対象疾病の該当性が争いになることが多い病名(脳血栓症,脳梗塞症,ラクナ梗塞,重症の不整脈(心室細動等),大動脈瘤破裂(解離を含む。))については,認定基準に具体的に明記した上で,あくまで例示であることを明記すべきである。

4 認定要件を改定すべきである -改定意見書第3

(1)最高裁判決は,血管病変等の自然経過を超える増悪が「著しく」であることが必要であるとは判示しておらず,また,血管病変等を増悪させる業務について,「特に過重」な業務であることが必要であるとも,「著しい疲労」の蓄積をもたらす業務であることが必要であるとも判示していない。

したがって,「特に過重」及び「著しい疲労」という文言については,「特に」及び「著しい」を削除すべきである。

(2)いわゆる治療機会喪失事案(例:脳出血の発症後も,業務に従事せざるを得なかったために,適切な治療ができず死亡した場合など)については,認定基準において言及がないが,最高裁判例においても労災と認定されていることから,認定要件に追加すべきである。

5 過重負荷の定義を改定すべきである -改定意見書第4の1

認定基準は,業務による明らかな過重負荷と認められるものとして,「異常な出来事」,「短期間の過重業務」及び「長期間の過重業務」に区分し,認定要件としているが,裁判例は,認定要件の区分を厳格に適用した判断はしておらず,むしろ業務による一連の過重負荷を総合評価して過重性を判断しているといえる。

したがって,これらは相対的な区分にすぎず,各区分の認定要件を必ずしも満たさない場合であっても,業務による一連の過重負荷を総合的に考慮した上で,全体として業務による過重負荷と認められるか否かを判断すべきである。

6 具体的な「同僚等」を基準とすべきである -改定意見書第4の3

7 労働時間の認定方法を明記すべきである -改定意見書第5

8 時間外労働時間数の基準を改定すべきである -改定意見書第6の1

9 労働時間以外の負荷要因(労働の質)の改定-改定意見書第6の2

10 過重負荷の総合評価についての改定-改定意見書第6の3

これらについては大きな表があるため、「脳心チーム 記者会見資料.doc」を印刷するなどして確認してください。

公開日時:2018年7月25日(水)

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